2010年12月1日水曜日

Fostex FF-WK シリーズ:スペックからの考察 (2) 10cmユニット編

新しいFFシリーズには、新たに10cmユニットが仲間入りしました。これは、他の10cmユニットと比べて、どういう性格なのか、興味深いものがあります。

フォステクスの、代表的な10センチ・フルレンジユニットのスペックを表にしてみました。

ユニット名 f0 m0 Q0 音圧レベル マグネット重量
FF105WK 75Hz 3.4g 0.41 88dB 340g
FE108EΣ 77Hz 2.7g 0.3 90dB 400g
FE103En 83Hz 2.55g 0.33 89dB 193g
FE107E(旧) 80Hz 2.6g 0.38 90dB160g
DCU-F121W(参考) 72.4Hz 5.05g 0.514(Qts) 86.5dB370g

参考に、PARC Audioの10cmmフルレンジ・ユニット、DCU-F121Wのデータも載せました。フォステクスのユニットの a(実効振動半径)は、すべて4cmです。(旧)とあるのは、旧モデルです。取り付け穴の寸法は、(値段的にも別格の)FE108Eシグマだけは、少し大きくなります。

FF105WKは、8cmユニットと同様に、FEシリーズと比べてm0が大きく、f0が低い事が特徴的です。マグネットの大きさは、Σを除くFEシリーズよりはずっと大きく、強力な磁気回路を持つ事が分かります。一方、Q0は大きめになり、FE107Eに比べてもバスレフに使いやすい値になっています。面白いことに、FE103EnとDCU-F121Wの、ちょうど中間くらいの特性になっています。やはり、FEシリーズに比べると、小さめのバスレフ・ボックスに入れられる、使いやすいスペックのユニットのようです。FE103Enの推奨エンクロージャーが容量6.8L、fd=95Hzなのに対して、FF105WKの推奨エンクロージャーは容量6.4L、fd=72Hzとなっており、ポートのチューニングがかなり低くなっています。

周波数特性は、7KHzにかなり大きなピークがあるのが気になりますが、高域はよく伸びています。価格も手頃ですし、気軽に箱を作って試せそうなユニットです。