2017年11月2日木曜日
Elekit TU-8600 (2) 基板の製作
最近のエレキットは、回路の大部分が一つの大きな基板に載せられているので、基板の製作がいちばん時間のかかる作業になります。上の写真は、メインの基板の完成した状態です。部品の多い面が、完成時には裏面になります。
表面を真上から撮ったのが、次の写真です。
左右の大きな白いソケットが300B用のUXソケットで、セラミックの、いわゆるタイト・ソケットです。スペーサーを介して、しっかりと基板に固定してからハンダ付けします。内側の3個のソケットが電圧増幅段用で、定番、QQQブランドのプラスティック・モールドタイプです。白いコネクターは、VH型のコネクターで、トランス類との接続に使われます。次の写真が、裏面、部品面です。
下側に増幅回路がありますが、全体の1/3程度、他の大部分は電源回路と入出力、ヘッドフォン出力の回路などです。写真の上端に見えるのが入出力端子です。入力のRCAジャックは金メッキの普通の基板用ジャックですが、出力端子は、かなりしっかりしたバインディングポストです。写真の下端が前面になり、ボリューム、ヘッドフォン端子、パイロットランプ(LED)が見えます。小豆色の4個の部品はカップリングコンデンサーですが、ポリプロピレンフィルムで、ニチコン製のようです。カップリングコンデンサーは交換できるように、間隔の広いパターンとスペースが用意されています。3個の放熱器はフィラメント、ヒーター電源のレギュレータIC用で、B電源のレギュレーターの放熱は、基板上の放熱パターンを利用しています。中央に見える、基板にネジ留めされている、やや大型の3個の半導体は、フィラメント、ヒーター電源のダイオード・ブリッジです。
電源のAC入力から電源スイッチまわりは別基板になっており、そこから電源トランスに入力されます。
部品については、電力抵抗が酸化金属皮膜抵抗な他は、すべて1/2Wのカーボン抵抗です。真空管のカソードまわり、フィラメントのデカップリングなどに低ESRの固体電解コンデンサー(ニチコン製)が使われています。それ以外の電解コンデンサーは、すべてニチコン製の105度規格のものです。相変わらず、全般にしっかりした部品が使われており、特に交換する必要は感じませんでした。電力抵抗については、基板との間隔が自然に取れる特殊なリードを用いた部品を、新たに採用しています。キットとしての作りやすさを考慮して、部品や定数の共通化をしていたり、部品配置を間違えにくく工夫してあったり、本当に細部まで配慮の行き届いたキットだな、と感心します。真空管アンプとしてはかなり複雑な回路ですが、丁寧に作業すれば、特に製作の難度は高くないように思います。
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