FostexのFE126Eというユニットは、かなり強力な磁気回路と軽い振動系を持った、典型的なオーバーダンピングユニットです(現在は、すでにモデルチェンジしてFE126Enとなっています)。バックロードホーン用として販売されています。フォステクスの強力ユニットに多い限定ユニットではなく、割合と安価ですが、評判も良いようです。しばらく前に買ってみたのですが、バックロードホーンを作る元気も無く、置いてありました。とりあえず、バスレフの箱を作って音を聞いてみる事にしました。FE127EやF120A, FX120などと取り付け寸法は同じなので、FE126Eに合わないようならば、この箱には他のユニットを付ける事にしよう、という目論見です。最初から「駄目で元々」という感じでした。
内容積は約10ℓ、バスレフポートのfdは約69Hzです。FE126Eの取扱説明書に載っているバスレフ箱と比べると、内容積、バスレフポートの面積はほぼ同じ、バスレフチューニングは少し高めです。他の12cmユニットでも、この辺が頃合いかと思い、中庸のチューニングになっています。箱の素材は15mm厚のラワン合板、仕上げはオリーブのポアステインにサンディングシーラー、水性ウレタンニスです。ポートは、内径50mmのHI-VP管です(東急ハンズなどで容易に入手できる内径50mmの塩ビ管はVU管なのですが、厚みが薄くやや不安なので、強度の高いHI管をネットで取り寄せて使う事にしました)。
作って鳴らしてみると、さすがに強力な磁気回路と軽い振動系を持つだけあって、能率はかなり高く、音量を下げても音が痩せないリニアリティの良さがあります。フォステクスらしい、音の鮮度の良さも、しっかり持っています。最初、床に置いたまま音を出していたら、意外なほどにバランスが良くて、「これはこのままで行けるかもしれない」と思っていました。ところが、スタンドに乗せて鳴らしてみると、やはり低域の量感が不足しています。低域は、出ていない訳ではないのですが、レベルが低いし、締まり過ぎの感じが強くあります。やはり、標準的なバスレフでは難しいのかも知れません。でも、高能率ユニットの良さは十分感じられて、なかなか魅力的です。この箱は他のユニットにあてがって、FE126Eにはバックロードの箱を作ろうか、と考えているところです。