(数年前、もう閉めてしまったブログに書いた文章です。 散逸しそうなので、メモ代わりにここに転記しておきます。)
Morgan Jonesの有名な"Valve Amplifiers"という本の、第3版を買って読み始めました。いろいろ、日本のオーディオ雑誌等では見かけない事が書いてあり興味深いのですが、その中に「歪みの少ない真空管を選ぶ」という節がありました。
ドライバーレベルで用いる電圧増幅用真空管を測定してみると、管種によって歪みがかなり異なり、定評通り、おおむね6J5/6SN7族が低歪みである、という測定結果が載せられています。もっと細かく、ブランドや構造による違いも論じているのですが、こういう視点から真空管の性能を追い込んでいく、というのは、日本の昨今の風潮とは逆のようにも思えます。(「出力段の歪みは出力管の「味」であるから打ち消したりしない」という文章を見た事もあります。)
もちろん、歪みが多い真空管を用いて出力段との2次歪みの打ち消しを行う、という事もあるので、歪みが多いのが一概に悪いとは言えませんが、一般に2次歪みが多い真空管は(直線性が悪いので)3次以上の高次歪みも多く、やはり歪みが多くなりがちである、とも言われます。
一方、MT管は一般に歪みが多い、(フィリップス以外の)5687や、6DJ8は比較的歪みが少ない、という事も述べられていますが、では6SN7族のメンバーである6CG7/6FQ7はどうか、という事については、何も述べられていません(測定結果がありません)。さらに、追求すべき事は沢山ありそうです。
ちなみに、12AU7/ECC82族は、一貫して(consistently)歪みが多い、という事で、この辺は6SN7族に似ているのかと思っていたので、意外でした。12BH7(A)が歪みが多いのは良く知られていますが、12AU7もその仲間、という事のようです。
(2007年09月21日)