2013年9月14日土曜日

Markaudio Alpair 10 バスレフ・システムの製作 (4) 第一印象と測定 

100時間の小音量でのエージングというのは、なかなか音を出せる時間が少なくて難しいので、4〜50時間くらいと思われる頃から、だんだん音量を上げて、やや控えめな音量で音楽を聴き始めました。

全体的に、ワイドレンジで楽器音の分離がいい、という印象です。フルレンジとしては混変調歪が少ないのかも知れません。低域はよく伸びている割に量感があまりない感じもしますが、他のスピーカーの上に置いているだけ、というセッティングに問題がありそうです。また、エージングで変わってくる部分でもありますし、これからでしょう。高域は、純マグネシウムのツイーターと比較すると苦しいかも知れませんが、繊細な感じもあります。まだこれから鳴らし込んで行くと変わってくるでしょうし、大音量を出していないのでよく分からない部分もあります。いずれにせよ、高いポテンシャルを持っている事はよく分かり、これからが楽しみです。

とりあえず、控えめな音量でピンクノイズを出して測定してみました。最初に、バックグラウンドノイズです。


夜中なので比較的静かですが、30Hz以下のノイズは少なくありません。20Hzあたりと思われるノイズのピークは以下の測定でも見られます。

次はドライバーの近くでの測定値です。


高域、特に15KHz辺りのピークは測定系の問題と思いますが、100Hz辺りから上はかなりフラットな様です。ドライバーのごく近くで測定しているので、バスレフ・ダクトの影響はほとんどありません。

次は、バスレフ・ダクトの出口の音圧です。


これを見る限り、ダクトの共鳴周波数は40~50Hzくらいで、効果的に低域を補強しているように見えます。また、中域の音漏れもそれなりにありますが、特に大きなピークはなく、少量の吸音材の割には良好に見えます。もう少し吸音材を入れてみる予定ですが、あまり吸音材を増やさなくても大丈夫かも知れません。

1メートルくらい引いた場所からの測定値が次のグラフです。


レベルが下がり、部屋の影響も受けやすいのであまり細かいことは分かりませんが、13cmフルレンジにしては ワイドレンジで全体にフラットな印象です。

取りあえず、物理特性に大きな問題はなさそうです。もうしばらく鳴らしてから、セッティングなどで音質を追い込んで行く事になりそうです。

2013年8月28日水曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(8) 使用状況と測定

Z601-Modenaが完成してから、しばらく現在のメインスピーカーであるZ800-FW168HRの上に置いて音を出していたのですが、さすがにクオリティに差がありすぎるし、少し距離があると量感も不足し、あまり音を出す機会が無くなってしまいました。やはり、8cmのドライバーですし、ニアフィールド・モニターとしての用途が向いている様です。そこで、パソコンのモニターの両脇において、仕事をしながら音楽を聴くためのスピーカーとして使ってみる事にしました。


こんな感じで、以前作った小さなスタンドの上に置いて使っています。(上に置いてあるのは、O'Reillyのカレンダーです。)

試聴距離は50cmから1mという所で、本当にニアフィールドで、出す音量も小さなものです。こういう用途には8cmドライバーはぴったりで、低音の量感も感じられ、ボーカルの生々しさも良好です。音の傾向については、ポリプロピレンの振動板には、やはりメタル系、あるいはパルプ系の振動板のユニットとは異なる穏やかさがあるように感じます。私の好みの方向とは多少違うのですが、悪くはありません。

 この設置状態で、少し測定をしてみました。ピンクノイズを入力して、iPhone上のAudio Toolsで測定しました。今回は、RTA(real time analyzer)ではなく、FFT(fast Fourier transform)を用いています。まず、ドライバーの近くで測定した結果が以下のグラフです。


10kHz以上の特性は、マイクの癖がありそうなので当てにはなりませんが、100Hzから8KHz辺りまでは、かなりフラットでいい感じです。100Hz以下はダラ下がりですが、8cmのドライバーですから妥当なところでしょう。30Hz以下の音圧は、空調などのバックグラウンド・ノイズです。

次のグラフは、ダクト付近での音圧です。(ダクトにほとんど突っ込んで測定しているので、絶対値は意味がなく、グラフの形だけが意味があります。)


これを見ると、50Hzから250Hzくらいまでの音圧が出ており、効果的に低域が補強されていることが分かります。ただ、中低域、つまり100Hz前後はユニット出力とかぶっており、やや強調されているかも知れません。また、意外なほど中域、700Hzから1.2KHz辺りの音がダクトから漏れています。このような音漏れは、ドライバーからの直接音と干渉するのであまり望ましくありません。今回はダブルバスレフで、このような中域の音漏れは少ないはずなのですが、予想以上に大きいので驚きました。これを減らすには、もっと吸音材を入れる事になりますが、すると低域の共振も下がってくるはずで、悩ましいところです。また、そのためには、低密度の吸音材を第2音室に詰めるのが可能性として考えられますが、ダブルバスレフなので、第2音室にこれから吸音材を入れるのは困難で、諦めざるを得ません。第1音室にも低密度の吸音材を詰めてみて、特性を調べてみても良いかも知れません。

いろいろ課題もありますが、ニアフィールドで使用するには、低域も豊かで、なかなか楽しいスピーカーです。ドライバーを、アルミ・マグネシウム合金、あるいはパルプ・コーンのものに交換するのも簡単なので、そのうちに交換してみるかも知れません。かなり雰囲気の違うシステムになりそうです。
(以上)

2013年8月27日火曜日

Markaudio Alpair 10 バスレフ・システムの製作 (3) 取りあえずの完成

箱が出来たので、細かい取り付け作業をして、取りあえずの完成となります。

端子のハンダ付けをします。今回は、ターミナル板は丸形の物を用いました。 スピーカー側は、取り外しできる端子にハンダ付けをするので、手軽です。


吸音材は、最初は少なめにしました。薄手のウールの吸音材、20cmx17cmを2枚、それから低密度の観賞魚フィルター用ろ過マットを3枚下部に入れる事にしました。


吸音材を入れた内部の様子です。



最後にユニットの取り付けです。取り付けには、付属していた4mmのタッピング・ビスを用いました。3mmの六角レンチを用いるので、かなり強固に固定できます。位置決め、仮止めしてからバリを削り、改めて取り付けをしました。ほぼ、フレームとバッフル面は面一になります。



完成して、音が出せる状態になりました。下に見える、音工房Zのキット、Z800-FW168HRよりも、ほんの少し、大きな箱になりました。


 ウェブ・ページのデータシートによると、最初の100時間は極く小音量で 鳴らすように、という指定があるので、しばらくは小さな音でエイジングし、その後、測定、吸音材の調整などに入る予定です。(材料が届いてからここまでに、ひと月ほどかかっています。)

2013年8月26日月曜日

Markaudio Alpair 10 バスレフ・システムの製作 (2) ボックスの製作 

東急ハンズから届いた材料は、このような感じになります。


まず最初に、2枚重ねのバッフルを張り合わせます。


側板と底板、天板、補強仕切り板、それに補強材を張り合わせているところです。接合は全て木工用ボンドを用い、クランプで圧着して固定しました。13cmのフルレンジドライバー向けの箱としては、かなり強度の高いものと思います。


10本のクランプを使い、バッフルと背板を圧着して張り合わせ、箱は完成です。


ダクトは、HI-VP50という、呼び径50mm(実効内径51mm、外径60mm)の耐衝撃・肉厚・塩化ビニール・パイプを100mmの長さにカットして用いました。(普通に手に入りやすいのは排水用のやや薄いVU50で、その場合は外径が異なります。)


組み立てた箱にヤスリがけした物が次の写真です。簡易型の面取りカンナを用いて、バッフルの側面には12mm、上下面には5mmの面取りをしました。


そのあと、ポアステインのオーク色で着色、 サンディングシーラーを塗ってサンディング、数回のウレタン・ニスの重ね塗りをして、仕上げとしました。


2013年8月25日日曜日

Markaudio Alpair 10 バスレフ・システムの製作 (1) 設計

評価の高いMarkaudioの ドライバーを使ってスピーカーシステムを製作する事にしました。選んだドライバーは、Alpair 10という、実効振動板半径が約5cmの、比較的上級のユニットです(10という型番は、有効振動板直径が10cmである事から来ていると思われます)。 普通に言えば、13cmのフルレンジ・ドライバーという事になると思いますが、フレームの外径は165mmもあります。


Alpair 10Mの振動板はアルミ・マグネシウム合金で、色はゴールドとグレイがありますが、今回入手したのはグレイのものです。ちょうど、バージョンアップの時期と重なり、Alpair 10v2を入手する予定が、Aplair 10Mv3となりました。「10」が「10M」と変更になったのは、パルプコーンのAlpair 10Pも発売になったためで、フレームは共通なので、同じボックスでパルプコーンのものに交換する事も可能です。

面白い事に、ドライバー自身には全くデータや説明書が付いてきません。付属品は、取り付け用のタッピングビスのみです。データは、ウェブページで見る、という事の様です。今回は、新しいバージョンなので、10Mv3については、まだMarkaudioのウェブページにはデータはなく、販売店のウェブページにある情報だけなのですが、旧バージョンのデータで設計しても問題はなさそうです。

ボックスの設計は、Markaudioのウェブページに掲載されている「黄金比バスレフ・ボックス」の奥行きを深くして、容積を約21ℓにしたものとしました。spedによるシュミレーションは以下のようになります:



ダクトの長さは実効長で112mm、計算上のfdは約43Hzです。ボックスの素材は21mm厚のシナ合板、バッフルのみは(落とし込みのために)12mmの シナ合板の2枚重ねとし、十分な強度を出す事を意図しました。内部には補強の仕切り板を、天板、底板には補強を入れます。側面からの断面図は以下のようになります。バッフルの厚みが24mmなので、外形寸法は450x292x265(HWD)となります。


板取は、以下のようになります。21mm厚、910x910mm、300x910mmのシナ合板、12mm厚、600x910mmのシナ合板から以下のように切り出す事にして、東急ハンズ渋谷店に依頼しました。仕切り板の穴は(価格との兼ね合いで)円形にしました。幅30mmの板は、天板と底板の補強です。



2013年5月19日日曜日

小澤隆久著「作りやすい高音質スピーカー: 測定とシミュレーションで高性能を徹底追及」の感想

「MJ無線と実験」に連載されている、小澤隆久さんのスピーカー製作記事が単行本になりました。「作りやすい高音質スピーカー: 測定とシミュレーションで高性能を徹底追及」です。いきなり感想を書くと、とても面白く、多くの事が学べました。スピーカー自作に興味を持つ人には、とても素晴らしい本と思います(もちろん、MJの連載を熟読していて、全て知っているという人を除いて)。


オーディオの本には、一回読んだらそれでいいかな、という感じの情報量の少ない本と、何度も読み返して理解を深めていくべき情報量の多い本とがあります(オーディオには限りませんが)。この本は、後者の本です。少なくとも私には、一回通読しただけでは理解しきれない、多くのアイデア、データ、解析が溢れています。以下に書く事は、現時点で感じている事です。もっと読み込むと、さらに多くのインスピレーションを与えてくれる本、と感じています。

この本の主題のひとつは、QWT(1/4波長共鳴管)スピーカーで、吸音材の使い方を中心に、どのようにまとめて行けば良いかを、いくつもの例をもとに詳述しています。ポートの音圧を計測しながら必要な吸音材の量を決めていくノウハウは、他の本では見た事のないもので、多くの人にとって有用と思います。バスレフ・エンクロージャーの吸音材の処理も同様にできる事も、丁寧に説明されています。オーディオ・ショップで売られている吸音材ではなく、低密度の観賞魚用フィルターを用いた吸音処理が、この本のハイライトのひとつと思います。

また、2ウェイ・スピーカーのネットワークの設計についても、実測やシミュレーションを駆使した設計、逆にテスターだけによる設計法など、いくつものアイデアが追求されており、とても興味深いものがあります。さらに、そうして決定されたネットワークの数値自体も、しっかりした測定結果に裏付けられたもので、そのままコピーしていいかな、と思わせる説得力があります。

とにかく、どの製作、実験にも豊富な測定データが添付されており、測定データから学べる事の多さに(改めて)驚かされます。測定の手間を考えると、頭の下がる思いです。実験、測定、試聴、改良、というサイクルを繰り返して納得のいくものを作っていく、という作業手順それ自体に、学ぶところが多いです。

一方、スピーカー製作の方法については、そのまま参考にできるとは限らない部分もあります。著者の想定している生活環境は、たぶん、地方都市の一戸建ての家に住み、車でホームセンターに行って材料を買う、というものの様です(ユニットなどの主要パーツは、通販なり、遠出して電気街に行って購入するのでしょうけれど)。ですから、ホームセンターで購入できる安価な素材を用い、屋外で電気工具を用いて材料を加工し、電動サンダーで仕上げをする、という事になります。私の様に、都心の狭いマンションに暮して、車を持たないのでホームセンターにも行けない、屋外に使える場所がないので電動工具も使えない、というような人間には実現不可能です。でも、それならそれなりの工夫、やり方がある訳で、この本の問題点、ということでは無いと思います。また、材料の選び方についても、違った感じ方をする人も多いかと思います。でも、それこそ各人の好み、考え方に従って工夫し、作り上げていけば良い事で、そのための多くの知恵がこの本には詰め込まれています。

とりあえず、この本を参考にして、以下のようなスピーカーを作りたくなりました。
  1. 8cmユニット(たぶん、FE83En)を使ったトールボーイのQWTスピーカー(2-1)
  2. MarkAudio Alpair 10を用いたバスレフ・スピーカー(3-1)
  3. M100HR-WとFT200Dの2ウェイ・スピーカー(4-5)
  4. FF225WKを用いたフルレンジ・バスレフ(5-1)
どれも、本書の製作例とは少し異なったものになると思いますが、大いに刺激を受けて類似のものを作りたくなりました。スピーカーを作りたい気持ちを盛り上げてくれる本です。

(ちなみに、私は著者とは全く関係ありません。また、Amazon.co.jpのアフィリエイトもしていません。)

2013年5月3日金曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(7) -- 仕上げ(そのに)

一旦、部品を全て外して(鬼目ナットまで外して)、仕上げをしました。もう一度240番の紙ヤスリでサンディングしてから、サンディング・シーラーを塗り、完全に乾いてから400番の紙ヤスリで(軽めに)サンディング。その後、ウレタン・ニスを塗って600番でサンディング、ウレタン・ニス、600番でサンディング、もう一回ウレタン・ニスを塗って、いちおう仕上げは終了という事にしました。


バーチ材で、しかも下地をきちんと作っておくと、ニス塗りは全く染み込まず、液体を載せる状態になります。これとサンディングを3回繰り返すと、表面はかなり平滑になります。

色は、例によって、薄い飴色になります。この黄ばんだ感じを避けて、サンディングをした状態の白木の色を出すために、白のポアステインを塗ろうかと最初は考えました。ところが、試し塗りをしたところ、バーチ材とはあまり相性が良くないのか、ちょっと白が浮いた感じになりました(シナ合板だと良い感じになるのですが)。この飴色は年と共に濃くなってくるわけですが、それも「素材の味」のうちでしょう。

完全に乾燥させてから部品を取り付け、取りあえずの完成となります。

2013年4月29日月曜日

リンク集の更新

リンク集のリンク切れなどがあったので、それを直して、内容も一部更新しました。

2013年4月26日金曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(6) -- 試しに音出し

仕上げは途中なのですが、取りあえず配線して音を出す事にしました。まずは、ターミナルの配線です。


普通はターミナルには直接ハンダ付けをすると思うのですが、どうも半田ごての容量が不足気味なので、端子を外してハンダ付けを行いました。スピーカー側は、余っていたカバー付きのファストン端子を用いる事にしました。


この状態でスピーカーにボックスに取り付けて配線なのですが、ファストン端子が一旦取り付けると外しにくくて、ちょっと閉口しました。


アンプにつなぐと、無事に音が出ました。最初は、もちろん「良い音」とは言えないのですが、パルプ・コーンのような「ガサガサ」というのとちょっと違った、引っかかるような感じが不思議ではあります。

しばらく鳴らしていると、だんだん音はこなれてきて、8cmドライバーらしい繊細さが聴けるようになってきました。やはり、ニアフィールドに向いているようで、1メートルくらいの距離で聴くときのバランスの良さは、さすがに小口径フルレンジ・ドライバーです。鳴らしているうちに低音の量感も増えてきた印象で、どう変わっていくのか、楽しみです。

2013年4月25日木曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(5) -- 仕上げ(そのいち)

仕上げはヤスリがけで決まる、という話も良く聞きますし、丁寧にヤスリがけをして表面を整えます。電動工具(電動サンダー、トリマー)は持っていないので、合わせ目(特に木口)の段差は、NTドレッサー(鉄ヤスリ)で削り落として、ハンド・サンダーでヤスリがけをしました。


ヤスリがけが終わると、ずいぶん完成に近づいた印象があります。でも、着色、ニス塗りは時間のかかる工程なので、完成まではまだまだです。


2013年4月23日火曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(4) -- 組み立て(そのに)

組み立てた、前後のブロックをつなぐのですが、取りあえず、結合部を合わせて貼り付けました。ポートの所がけっこうズレています。



しばらく置いて、結合部をクランプして、それからポートの所を合わせてクランプで固定しました。これでしばらく置いて、歪みが減ることを祈ります。


この段階で、内部のポートの幅を測ってみたら、片方は設計通り20mmあるのですが、もう片方は18mmでした。いろいろ測ってみると、板の取り付け位置が(逆方向に)1mmずつずれていて、合わせて2mmの不足になったようです。多くの設計では、ポート断面積は板取のときのサイズで決まるのですが、今回の設計では、板の取り付け位置で直接決まるので、ズレにはよほど気をつける必要があるようです。まぁ、10%のズレは許容範囲、という事にして先に進みます(もう直せませんし)。

後は、吸音材を入れてから、側板の取り付けです。接着剤を付け、どうにか歪みを補正しながらクランプで固定します。


これで、取りあえず箱にはなりましたが、完成はまだまだ先です。

2013年4月22日月曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(3) -- 組み立て(そのいち)

組み立ての最初は、前後の板への水平の板の貼付けです。


一枚ずつ、直角を確かめながらクランプで固定していきます。丁寧に組み立てているつもりでも、いろいろな理由で段差ができたりするので、先に進む前に段差はヤスリ(ここでは鉄ヤスリ)で落としておきます。


前後の板に数枚の板を貼り付けて一段落です。


これを組み合わせ、側板を付けて箱になります。この段階で仮組みをしてみると、なんか、けっこう歪んでいます。最終的にはクランプで締め付けて納める事になりますが、何となく先行きが不安です。

2013年4月21日日曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(2) -- バッフルの予備加工

最初に、バッフルの予備加工を行いました。

ユニットの取り付けは木ネジではなく鬼目ナットを使いたいので、その穴をまず空けました。不器用なので、現物合わせではなく、こんな図:


を製図してプリントし、バッフルにマスキングテープで貼り付け、千枚通しで位置決めをします。


千枚通しでピンホールを空けた場所に6mmのドリル・ビットで穴を空けるのですが、 ユニットの穴との間隔が1.5mmしかないので、つながってしまわないように注意しながら空ける必要があります。

その次に、小型フルレンジのエンクロージャーではお約束の、ユニット背面のテーパー加工です。今回は、回転ヤスリをドリルドライバーに付けて削りました。手で削るよりは楽ですが、それでもそれなりの手間となります。ゆっくりと丁寧に削っていきます。


今回は、それほど深くは削りませんでしたが、ドライバーの背面の空気がスムースに流れるように仕上げます。

予備加工が終わったバッフルの裏面です。ダブルバスレフなので、内部の板の位置が鉛筆で書き込んであります。


背板にも内部の板の位置を書き込んで、予備加工は終わりです。

2013年4月20日土曜日

音工房Zの新しいキット:Z601-Modenaの製作(1) -- 開梱

音工房Zさんの新しいキット:Z601-Modenaが発売になり、予約をしていたので、早速届きました。8cmフルレンジ・ユニットを使った小型のダブルバスレフ・システムということで、楽しみです。

http://z-sound.biz/z600/modena.html

開梱して広げてみたパーツの全容は、こんな感じです。


付属するドライバーは、音工房ZオリジナルのModenaという名前で、8cmポリプロピレン・コーンのユニットです。Tang-Band W3-582SBと同等のもののようです。フレームは丸形ではないのですが、厚手でダイキャストのように見えます。


仮組みをしてみましたが、特に問題は無さそうです。ただ、Z800-FW168HRと違ってビスケット・ジョイントやダボはないので、組み上げるときは直角に注意する必要はありそうです。却ってZ800の方が組みやすいかも知れません。


板材はバーチ(白樺)の合板で厚さは公称15mm、実際はノギスで測ると14.8mmほどでした。バーチ合板はやや薄めだという話は良く聞くので、こんなものでしょう。

次は、バッフルの下加工をする予定です。

ミクセルの新しいスピーカー・キット

紙管を用いたユニークなスピーカー・キットで知られるミクセルさんから、バーチ材を使った四角いエンクロージャーのキットが発売されました。ひと月くらい前からアナウンスはされていて、注目していたのですが、値段も決まり発売されたようです。

http://www.mx-spk.com/RE-7.htm

しばらく前から、MarkAudioのAlpair7のスピーカーが欲しい(作りたい)と思っているのですが、バッフルのザクリ加工や取り付けのナットのクリアランスなど、(些細ですが)少し悩ましい事もあり、またラワンでなく(入手経路の限られる)バーチ材のような素材がいい、とも思っていて、着手していませんでした。このエンクロージャー・キットのAlpair 7バージョンは、それにぴったりです。

このキットの魅力は精密なバッフル加工で、トリマーすら持っていない私にはとても手の届かない造作になっています。バッフルは厚み18mm、それ以外は12mmで、少し箱を鳴らす方向のようです。私の指向とは少しずれる感じもあるのですが、値段もリーズナブルですし、作ってみたい、と検討中です(作ってみないで批評していても無意味ですし)。もちろん、無仕上げなので、自分の好きな仕上げにできる所も(この手のキットに共通する)魅力です。

何にせよ、心惹かれるキットです。

2013年4月7日日曜日

マキゾウクラフトの閉店

スピーカーの材料、特にシナアピトンの精密な加工で定評のあった、マキゾウクラフトさんが閉店になりました。とても残念です。これまでの活動、貢献に感謝したいと思います。

2013年3月29日金曜日

ParcAudio DCU-F131Pのバスレフ箱

もう、2年以上前に買ったParcAudioのDCU-F131Pについては以前にも書きましたが、さすがに音を聴いてみたいと思い、深く考えず、割と標準的なバスレフ箱を作って鳴らしてみました。外形は320mmx200mmx230mm(HWD)、容積は9L程度で、ParcAudioの13cmフルレンジ用の標準箱よりは小さいのですが、13cm用としては普通の大きさと思います。


ユニットはバッフルの中央に付けたスタイルで、バスレフ・ポートは背面です。ダクトは、フォステクスのP49という、内径49mm、長さ110mmのものを用いました。計算上のfdは約60Hzです。ターミナルは、埋込み型・丸形のものです。全体に、外見と手軽さ優先の構成です。



箱の素材はシナ合板で、東急ハンズで、厚さ15mm、910mmx910mmの板からカットしてもらいました。板取は、以下のようにシンプルなものです。



仕上げは、オーク色のポアステインに水性ウレタンニスです。ユニットの取り付けはビスと鬼目ナット、内側の角には三角柱をカットしたもので補強してありますが、他に補強はしてありません。

iPhoneのアプリ、AudioToolsのReal Time Analyzerで簡単に測定したのが下のグラフです。低域は63Hzまではしっかりと出ていて、その下の40~50Hzは急降下ですが、いくらかは出ているようです。高域もしっかり伸びています。(16kHzのピークはマイクの特性のようです。)物理特性には問題ないようです。



このスピーカーは、2012年の12月から2013年の1月にかけて作ったのですが、実は、音出しをした当初は、いささか失望しました。もちろん、始めからいい音がするとは思っていなかったのですが、数日鳴らしても、中高域は何となく付帯音のようなものが感じられ、低音はスカスカの感じでした。最初は用いていなかったガスケットを取り付け、吸音材を増やしても、中高域はすっきりとしません。低域は、バスレフのチューニングを変えようとしても、「バスレフポートは、本当に効いているのか?取り付け位置がまずかったのか?」という感じでした。鳴らしていても、どうにも楽しくないので、一週間くらいで接続を外して放置してありました。

二月ほど放置してから、思いついて鳴らしてみたら、何故か、今度はすっきりとした音が出てきて驚きました。通電していた訳ではないので、ユニットのエージングではなくて、箱が落ち着いてきた、ということの様です。箱は、今でもやや鳴いているようで、もう少し強度のある素材を使うべきかとも感じていますが、とりあえず、楽しく音楽の聴けるスピーカーになりました。

音の印象は、(金属ドーム・ツイーターのような)解像度指向、繊細さ優先ではなく、どちらかと言えばマイルドだとは思うのですが、すっきりした音で、いわゆる、音離れのいいタイプと思います。ピアノなどを聴くと、「音に芯がある」という印象があります。高域に量感がある、と言うのでしょうか、軽くてしっかりしたパルプ・コーンの個性なのかも知れません。

何はともあれ、8cm級のスピーカーよりはずっと余裕があり、音楽を安心して楽しめるスピーカーと感じます。もっと良い素材、例えば、バーチ材を使うともう少し良くなるかな、という印象もあり、機会があれば再挑戦してみたいと思っています。