2010年12月26日日曜日

こんなスピーカーを作りたい:DCU-171K2のフロア型スピーカー

PARC Audioの17cmのケブラー・コーン・ウーファー、DCU-171K2が製造中止になる、というお話で、これも購入してしまいました。どう見ても、ハイスピードで強力な、本格派のウーファーです。


これをどう使うか、という事を考えていて、最初は、正統派のユニットなので、標準的なブックシェルフの箱に入れるのが良いかな、と考えていたのですが、だんだん、フロアタイプのスピーカーが欲しくなってきました。このクラスのブックシェルフ・タイプのスピーカーは、結局はスタンドも作る事になり、場所的にも、手間的にも、トールボーイ・タイプのフロア型スピーカーに比べて有利とは思えなくなってきました。商品としての流通上は、小型になるし、いろいろメリットがあるとは思うのですが、自分で作って自分で使う分には、関係ありません。

むかしから、長岡鉄男氏の設計した「ファーネス」というフロア型スピーカー(のスタイル、設計の狙い)が好きだったので、それに沿って設計を考えてみました。底面積は小さく、背は高く、という方向でプロポーションは変更しました。私自身は、音源位置が高めの方が使用状況(椅子に座って聴く)に合っていますし、省スペースです。現時点では、以下のような設計を考えています。


ボックス部分の容量は約30L、高さは63cmですが、その上に長さ41.5cmのチムニー・ダクトを付けています。ダクトは9cm×9cm=81cm^2の断面積、ウーファーの有効振動板面積の67%に及びます。断面積も大きいですが、長さも43cmと長大なので、fdは約40Hzとなります。チムニーダクトの外形の幅は12cm×12cmで、そこにツイーターのDCU-T111S(PARC Audio)を2本、縦に並べます。いくらか、ウーファーとツイーターの振動板位置を合わせる事も意識しています。spedを用いた、低域特性のシミュレーション結果は、以下のようなものです(箱のサイズだけ合わせて計算しました):


ツイーターは、2本を直列につないで用いる事により、能率は約3dB下がり、耐入力は4倍になる計算になります。計算上は、ウーファーの能率より、0.5dB低くなる事になりますが、実際上は、ツイーターの方がまだ能率が高い可能性もあります。いずれにせよ、アッテネーターなしで行けるか、まずは試す事になります。ネットワークは、以下のようなものを考えています:


単純な6dB/oct.のネットワークです。帯域的には余裕があるし、ツイーターは直列になっているので、耐入力の問題はあまりないだろうと思います(私自身は、あまり大音量では聴きませんし)。ツイーターは12Ωのインピーダンスで計算して、カットオフ周波数は1.95kHzです。ウーファーは、インピーダンス上昇を考慮して8Ωと考えて計算して、1.59kHzのカットオフ周波数になります。ややスタガー気味になりますが、ウーファーは2kHzあたりに少し盛り上がりがあるので、このくらいでバランスが取れそうな気がします。6dBクロスだと、正相でも逆相でも良いはずなのですが、スタガー気味なので、逆相接続の方が良さそうです(分かりませんが)。ツイーターを2本使うと、超高域で減衰するので、それを補う必要があるかも知れません。「ファーネス」に倣って、下側のユニットに1μFくらいのコンデンサーをパラレルにつないで、上のユニットの高域を伸ばすと良いかも知れません。この辺は、鳴らしてみてのバランス次第でしょう。

木材は、15mm厚のサブロク合板で1+1/3枚で、以下のような板取を考えています。(無駄のない板取を考えて、上のサイズは微調整してあります。)15mmでは薄めなので、補強をかなりする予定で、その分も入っています。



さて、どんな結果になるかは、やってみなければ分かりません。楽しみです。