ユニット名 | f0 | m0 | Q0 | 音圧レベル | マグネット重量 |
FF225WK | 44Hz | 18.4g | 0.35 | 93dB | 1067g |
FF225K(旧) | 40Hz | 17.3g | 0.2 | 96dB | 1067g |
FE206En | 45Hz | 12.2g | 0.19 | 96dB | 1067g |
FE207E(旧) | 40Hz | 15g | 0.26 | 95dB | 707g |
FE204(旧) | 45Hz | 14.6g | 0.23 | 95dB | 848g |
FE208EΣ | 42Hz | 13.3g | 0.18 | 97dB | 1408.7g |
F200A | 30Hz | 18.6g | 0.33 | 90dB | 607g(アルニコ) |
LE8T-H(参考) | 45Hz | 16g | 0.56(Qts) | 89dB | 2800g(注) |
参考に、JBLの名器とされるLE8Tのスペックも調べてみました。(注)マグネット重量の所に2800gと入れてありますが、これは“Magnet Assembly Weight”ということで、たぶん、ヨークなどの重量も含まれているのでしょう。マグネットサイズから予測すると800gくらいだろうと思いますし、スペックからしても、特に強力な磁気回路ではなさそうです。
FF225WKは、シリーズの他のユニットと同様に、旧FFシリーズに比べて振動系がやや重く、Q0を高めにチューニングしている、という事のようです。マグネットが同じサイズの割にQ0はずいぶん大きくなっているのですが、エッジやダンパー、ボイスコイルの辺りで大幅に変えた所があるのでしょうか? 音圧レベルも3dB/Wも減っており、低域は少しマイルドになっていそうです。高域のレスポンスには、いくつかピークが見えますが、超高域までは(もちろん)伸びていません。
FE204(あるいは、性格の似たFE207E)は、長岡鉄男氏のフロア型スピーカーの作例の中で、重低音ならぬ、「軽低音」を出すためのフルレンジ・ウーファーとして多用されていました。それらのユニットと比べると、FF225WKは、f0は同じくらいですが振動系もそこそこに重く、Q0もやや高めで、フルレンジ・ウーファーとして使い易そうです。ダブル使いで2ウェイを作るのにも、ぴったりな感じですし、FE207Eも廃番になった現在では、貴重なユニットだと思います。
一方、LE8Tと比べてみると、まだまだダンピングの強いユニットに見えます。灰山アキラ氏は、「入門・スピーカー自作ガイド」(電波新聞社、2008)の中で、FF225Kを用いた2ウェイスピーカを試作して、外見は似ているけれど、「LE8Tとは対照的な性格の持ち主でした」と書かれています。FF225WKは、もう少しLE8T寄りになったかもしれないけれど、まだまだハイスピードな強力ユニットでしょう。上のリストから、現行でLE8Tの代わりになりそうなユニットを探すと、f0が30Hzと飛び抜けて低い、F200Aでしょう。でも、外見はずいぶん違いますし、価格的にも、かつてのLE8T並みに「高嶺の花」という感じがします。指定箱も45Lくらいと、LE8Tと近い使い方が指定されているようにも見えますし、大きめなボックスでどんな音がするのか、聞いてみたい気がします。
FF225WKの推奨エンクロージャーは、(少し不思議な気もしますが)FF225Kの推奨エンクロージャーの45Lから27Lと、大幅に小さくなっていて、一方、ポートの共鳴周波数は44Hzから39Hzへと、やや低くなっています。このサイズなら、サブロク合板1枚で2本作れて、経済的です。置き場所も見つけやすいし、世情に合った、現実的な設計なのかも知れません。